なぜ忖度(そんたく)するとビジネスは成功するのか
2017/06/26
忖度という言葉、聞いたことがある方も多いかと思われます。
読み方は「そんたく」。
少し前から国会やニュースでよく使用されている単語ですよね。
どうにもメディアでは悪い言葉のように扱われることが多いようですが…
実は忖度は、ビジネスにおいて非常に重要なのです。
■そもそも「忖度」はどういう意味?
なぜ忖度が重要なのかを説明する前に、まず言葉の意味を確認しておきます。
・(「忖」も「度」も、はかる意)他人の心中をおしはかること。推察。(『広辞苑』第六版)
・他人の気持ちをおしはかること。(『明鏡国語辞典』初版)
どちらの辞書にも書いてあることはおおよそ同じです。
ネット上の辞書でもほぼ同じようなことが書いてありました。
いずれにも共通して記載されている「おしはかること」についても、念のために確認しておこうと思います。
・既知の事柄をもとにして、未知の事について見当をつける。推量する。推測する。(『広辞苑』第六版)
・推測して考える。特に、ある事柄をもとにして他の事柄の見当をつける。(『明鏡国語辞典』初版)
少しわかりにくい説明なので、この説明を忖度の説明と組み合わせてみます。
すると忖度とは「既にある情報を元に、他人の気持ちを推測すること」ということになります。
つまり忖度とは、贔屓をするわけでも、具体的な行動をするわけでもなくただ推測するだけなのです。
■なぜビジネスにおいて「忖度」が必要なのか。
忖度とは推測だということを確認しました。
ではなぜ推測がビジネスにおいて必要なのでしょうか。
新しい商品(サービス)を生み出すときを例に考えてみましょう。
あなたが新しく商品を作るとき、まず何から始めますか。
売れるかどうかわからなくても、好きなものを作りますか?
それだと売れるか売れないかは、運を天に任せるしかありませんね。
何が売れるか。何を求められているかを考えるのではありませんか?
そうです、まず推測するのです。
ですが、ただ売れるか売れないか闇雲に考えるだけでは売れる商品は作れません。
お客様が何に困っているのか、その悩みを解決するためにどんな商品を作れば良いのかを推測する必要があります。
つまりターゲットを定めるということです。
ターゲットを推測し、その推測を裏付けるためのリサーチをしてください。
そうして初めて、売れる商品の基礎ができあがるのです。
■忖度する上での注意事項
忖度の重要性は十分理解していただけたと思います。
しかし、ここで気を付けて欲しいことがひとつあります。
あくまでビジネスのために、忖度しているということです。
当たり前といえば当たり前なのですが、お客様の気持ちを考えるばかりに価格設定を低くしてはいけません。
この場合には、お客様が喜ぶ価格を想定するのではなく、最大利益が上がる価格を想定するべきなのです。
もちろん想定する利益の中に、お客様満足度というものを盛り込む分には構いません。
ですが、お客様が喜ぶことばかりを重視しすぎるとちょっとしたことで経営が傾きかねません。
長く確実にサービスを続けるという意味でも、ビジネスをする上ではきちんと利益を出さなければならないのです。
■まとめ
お客様の「気持ちをおしはかる」ことが忖度。悩みや欲求を推測することがビジネスの基本です。
この作業なしに、売れる商品を作ることはできません。
できたとすれば、相当運がよかったのでしょう。二度目はありません。
しかし、それではビジネスマンとはいえません。
また、大切なのは推察してビジネスを成功することで、お客様に特別にとりはからったり、サービスしたりすることではないということです。
もちろんお客様に特別感や満足感を抱いていただくことはとても重要です。
けれども、だからといってビジネスが成り立たなければ元も子もありません。
忖度は大切ですが、使い方を間違うと失敗に繋がります。
それはもしかすると、ビジネスだけではなく、どんな世界でも同じかもしれませんね。