30万円の商品が、10万円の商品より売れるたった1つの理由
2017/02/24
あたながもし、質・量とも同じ商品が目前にあり、2つの価格があったなら、どちらの商品を買うでしょうか。
ことわざに「安物買いの銭失い」とあるにしても、多くの人は安い方を手にすることでしょう。
でも、まったく同じ商品で、価格が100万円/300万円という商品があった場合に、実は「金額の高い方が売れる」ということも存在するのです。
少し不思議に思うかも知れませんが、その理由とカラクリについて考えてみましょう。
■誰もが身につける「○○円くらい」との値踏み能力
記事をお読みの方は、すでに2~30年、いやもっと長く人生を歩まれているかも知れません。
人は生きた時間とともに経験も重ねるもので、日々の仕事や生活において(個人差はありますが)「この商品なら○○円くらいだろう」と、値踏みする能力を身につけています。
たとえばランチを食べるとして、街の小さな洋食屋さんであればせいぜい1,000円までの価格でしょうし、これがミシュランで星を獲得している洋食屋となれば3,000~5,000円くらいとおおよその見当がつくものです。
その値踏みと実際の価格を比べて、人は安い/高いと判断するのです。
さて、タイトルにある100万円/300万円の商品とは、一体何でしょうか。
この価格帯であれば、宝石やブランドもののバッグ、自動車などが思い浮かびます。
また、業種によっては出版物やホームページ制作費、土地や建物の面積あたり価格などを挙げる人もいるかも知れません。
これらはいずれも正解ですが、金額の高い方が売れるには、タイトル通り「理由」があります。
■価格=価値を確立したブランド業界
人は値踏みをした価格とあまりにも差が大きい場合、それが安くても不信感は生じます。
「この商品は○○円くらいが妥当で、△△円は安すぎる」または「一流メーカーの商品だから、○○円で買う事がふさわしい」といったブランド感です。
先に挙げた商品が100万円/300万円という2つの価格設定があったとしましょう。
これらが店頭に並んでいて、もしも値踏みした価格が300万円に近ければ、「100万円の商品には欠陥があるのだろう」と勝手に思い込んでしまい、安い方が売れなくなってしまうことがあるのです。
具体例として、先に挙げた「出版」で考えてみましょう。
部数にもよりますが、原稿をデザインソフトに流し込み、印刷・製本をして、何軒かの書店へ置いてもらうと100万円くらいでしょうか。
これでも出版という目的は達せられますが、ほかに皆が知っているような有名出版社が300万円を提示したなら、きっとそちらを選ぶ方が多いでしょう。
なぜなら、その出版社から発刊することに価値があるからです。
そして、複数社の見積をすれば100万円が極端に安いこともわかりますから、これをマイナス要因として高い方を選ぶようになると考えられます。
■価格設定の工夫で売れゆきも変化
ここまでの考え方を利用すれば、売りたい商品の価格設定も工夫できそうです。
ますは冒頭からの通り100万円/300万円という2つの価格の比較が大事ですから、単に「1契約で300万円」とするよりも、比較させる目的で別価格の商品を用意するべきです。
もちろん商品本体は同一としますが、売っている場所まで同一であれば、価格の違いに見合ったオプションを用意することになるでしょう。
また、日本人は「3つの価格があれば真ん中を選ぶ」とも言われます。
なかでも決断に時間がかかる人は、間を取って買おうとするものです。
そこで、売りたい商品の価格に上下した別価格の商品を用意するということも考えられます。
買い手が「真ん中の価格なら、値ごろ感がある」と思えば、さらに売れゆきを後押しすることになるでしょう。
物を売る商売は、どうしても近視眼になりがちですから、少し視点を変えて工夫をしてみることも大切です。