「口下手な社員」でもルート営業で結果が出る理由
2017/02/13
セールスマンがもつ能力のうち、とくに重要といえるのが「話術」です。
相手に興味を抱かせる口調や話題選び、納得させる力強さ、スマートな印象を持たせるスピードトークなど、シーンに合わせて話し方を使い分けられるかどうかが、営業成績に直結します。
一方で、話術に自信がない口下手な社員はなかなか成約に結びつきませんが、ルート営業においては結果を出すことも多いようです。
この理由について、探ってみることにしましょう。
■会社の信頼から関係が深まる「ルート営業」
ルート営業とは言葉通り、従来から取引を続けている会社へ道を辿るように訪問していく営業活動です。
すでに会社同士の信頼関係が築かれており、営業担当者が初訪問であっても断られることはなく、訪問を重ねるうちに人間関係も自然と深まっていきます。
ただ、従来から取引が行われてきた経緯があるため、新たな営業提案や取引数量の大幅な増加があまり期待できません。
そのため、ルート営業で結果を出す、目標達成するということは至難の技といえるでしょう。
むしろ、顧客側の業績次第では「長く取引をしてきた」という理由で、数量減や値引きを求められるといったリスクを生む危険性もあるのです。
■タイミング次第で、一言でも発すれば成約に
そんなルート営業ですが、こちらの提案をのむ可能性が高まるタイミングがあります。
それは、顧客側からの相談ごとに応じた後です。
ルート営業は会社間でも、担当者間でも信頼関係を築けることが多いため、何か困りごとや相談を持ちかけられることがありますが、それに応えたタイミングなら「恩返しの意味で、手みやげ代わりにしてもらおう」と契約を結ぶ可能性があるのです。
例えばある日、メーカーのルート営業担当者が、顧客側から「地元で有力な○○株式会社を紹介して欲しい」と頼まれました。
もともと担当者は口下手で、付き合う人脈の幅はせまいのですが、深い付き合いをするタイプでもありました。
そして偶然にも、この地元企業はルート営業の訪問先であり、迷わず会社同士を引き合わせることができたのです。
顧客側はこれを大いに喜び、たまたま新規提案をしていた商品の大口契約が取れたのです。
こうした例はそう多くないかも知れませんが、日本では無口を美徳とする感覚も相まって、口下手な担当者は好印象を持たれるようになっていました。
そして、相談にも実直に対応し顧客側へメリットをもたらしたことから、その対価として契約を獲得することができたのです。
適材適所とはよく言いますが、口下手なセールスマンをルート営業の担当に任じた会社は正しい判断をしたといえます。
■口下手でも成長目標は明瞭に
ただ、口下手で成果が出たといっても、総じて考えれば話術が上手いに越したことはありません。
少しでも話術やセールス自体の手法を勉強させ、明確な成長目標を掲げるべきなのです。
こうした目標設定と勉強する努力は、やった分だけ成長する可能性が広がります。
結果を出した事実は早い段階で自信へと転換させて、次なるアクションを起こさせた方が得策です。
また、顧客側と同じくルート営業担当者も、「お客様の役に立ちたい」との思いを強くもっています。
その思いを、話術やセールスの勉強へのモチベーションへと転換させ、スキルアップさせるようにすると、より意欲的に学ぶ姿勢が見られるようになるのではないでしょうか。
これを参考に、ぜひ社内でも「適材適所」と「自信をつけてからのアクション」を考えてみてください。