「トップ人材」な学生を見抜く2つの質問
2016/12/13
日本では40年以上前から出生数が減りつづける少子化社会。
会社にとっては、採用できる人口が少ない中で「いかに優秀な人材を獲得できるか」が会社存続のカギであり、採用関係の部署や担当者の悩みは尽きません。
とくに社会人経験がない新卒採用は、学生の見抜き方が課題。
「離職せず長く働き、一定の結果を出せる」のは最低限として、できるならば次代の会社経営に関わるトップ人材の獲得も視野に入れ、試行錯誤を重ねています。
■ありがちな質問の「回答」に注目!
さて、会社では一般的に、
・新卒採用=数年後または以降の会社で活躍できる人材
・中途採用=即戦力として活躍できる人材
と目的を立て分けて採用活動をします。
中途採用については、前職での活躍や経験、専門分野で従事した年数など、本人の能力を客観的に見るための材料が揃っている点で、能力を判別しやすいといえます。
対して新卒採用は、まだ社会での経験もない学生であり、非常に判別が難しいものです。
そのため会社としては、面接を重視します。
短時間であっても直接顔を合わせ、会話によるコミュニケーションを判断材料にできるからです。
また、本人の人間性や素質、潜在能力を探ることができるという期待感もあるでしょう。
そこで多く聞かれる質問が
1,「過去にどんな経験をし、何を学んだか」
2,「入社動機は」
という2つの質問です。
実は、このありきたりといえる2つの質問にこそ、人材を見抜くポイントが隠されています。
■「人をまとめる=リーダーシップ」という誤解
まずは1,を見てみましょう。
学生の返答に多いのは、リーダーを務めた何らかの団体や部活動、サークル等での活動経験を持ち出し、ハッピーエンドで終わるストーリーをあらかじめ用意しています。
これ自体は否定しませんが、ここで採用担当者は、リーダーシップに関する質問をし、もう一歩深く考察するべきでしょう。
よく聞く回答例として、高校時代の部活動でのエピソードを下記に綴ります。
「私は高校時代に、野球部で主将を務めました。残念ながら甲子園出場は叶いませんでしたが、皆で厳しい練習に耐えながら日々を過ごし、途中で挫折しそうになる仲間を励ましながら、最後の夏の大会には全員で出場し最高の思い出をつくることができました」
この話で注意したいのは、人をまとめる、人の輪の中心にいる=リーダーシップと認識している点です。
真のリーダーならば甲子園出場、それができないとしても前年より優れた成績を出すことは当然の責任です。
さらに部員の能力を伸ばすことも大切ですし、自分の役割まで言及できていないのもマイナス要因です。
これらを踏まえれば、
「残念ながら甲子園出場は叶いませんでしたが、投手には投球フォームを改善できるように監督と相談し、全体として走力をアップするためのランニングを練習に取り入れました。結果、最後の夏の大会には前年度よりも上位の成績を残すことができました」
というのが模範的な回答例になると思います。
「高校生の時点でここまで求めるのは…」と思うかも知れませんが、いわゆる強豪校、学校のOBや保護者からの期待を背負っている学校の主将は、模範回答のように考え、リーダーシップを発揮しています。
責任や自分の役割を正確に理解できるかどうかは、当人の性格に起因するものとしても過言ではありません。
ここを細かく質問をしながら、聞いていく価値があると思います。
■学生時代までの「論理的な生き方」にもポテンシャルが
2,については、自身の生き方に対する真剣さ、そして論理的な生き方ができるかどうかが回答から伺えます。
よく言われる欧米との比較として、「欧米の高校生は生き方で大学を選び、日本の高校生は知名度で大学を選ぶ」というものがあります。
ただ、日本でも理系分野の学生、自分で物事を考えて論理的に生きている学生は、自身の将来から学部を選んでおり、後者の学生に関してはリーダーのポテンシャルを持っている可能性が十分にあります。
たとえば面接での質問に対し、
「私は○○が好きだから、大学では△△を学び、△△に強い御社への就職を希望した」
「もともと□□が得意で、大学では□□に関する活動を行い多くの人に喜んでもらった。御社でもこの分野で人の役に立ちたい」
というような学生は、単なる想いや希望ではなく、学ぶという行動を起こし、努力する姿が垣間見えます。
何より、自分の意思と入社動機が一致している点も評価できるでしょう。
トップリーダーとなりゆく人材は、部下を管理し組織を守るマネジメントと、真に達成するべき目標やビジョンへ不断の努力と改革を起こすリーダーシップをともに兼ね備えていなければなりません。
先の通り、学生にそこまで求めることはできないにしても、センスと論理性の有無を見抜きながら、優秀な人材を見つけていただければと思います。