ジョイントビジネス(JV)成功と失敗を分ける要因とは?
2016/11/17
■ジョイントベンチャー(JV)とは
ジョイントベンチャーとは、ご存知のように共同事業体と言われる1社だけでは請け負うことのできない事業を複数の異なる企業が協力し、お互いが持たないリソースを出し合いWIN―WINを狙うビジネスの手法です。
よく建設業界で工事の受注、施行を行う際などでJVが設立されていますので、そのイメージが強いかもしれませんが、
複数の企業が集まり、資金、ノウハウ、技術、労働力、様々な各社の強みやリソースが使えるため、資金の増強が可能になり、弱みの補完ができることから、中小企業も、知名度の低い若い企業でも、自社だけでは受注できない仕事も受注のチャンスが生まれるこの手法は、
いまや建設業界にとどまらず、流通サービスの分野などでもかなり行われるようになってきています。
例えば、健康食品を販売する会社が医師と、メーカーが販路を持つ流通業者と、流通業者がネット参入のためIT企業と、など様々なJVが設立されるようになってきました。
■ジョイントベンチャーの成否を分けるポイントとは(ポイント1)
JVによって企業のビジネスチャンスが広がるという大きなメリットはあるものの、もともとは別の組織が共同で何かを行うというのは、簡単なことではありません。
JVが失敗に終わることも多々あります。
個々の事例の原因は様々なのでしょうが、成否を分けるポイントとして意識しなければならないのは、大きく2つあります。
まず、
組む相手を間違えない
ことです。
異なる企業がパートナーシップを結ぶ際には必ずと言っていいほど組織文化の違いを社員は感じるでしょう。
革新的な企業と保守的な企業では、社風も大きく違うでしょうから、会議のやり方ひとつでも、レポートのやり方ひとつでも、どちらの企業のやり方がいいかで、揉める可能性もあります。
出資が5:5の対等な関係ではなく、どの企業かがマジョリティーを持つ場合では特に注意が必要です。
出資が多い企業はJVのパートナーというよりも「下請け企業」という扱いをする可能性があります。
ビジネスのやり方も社風、業務のやり方までマジョリティー企業主導になってしまえば、マイノリティー企業からの出向者は当然、違和感ばかり募ってしまうでしょう。
ビッグネームだからと言って、飛びつくのは危険です。
■ジョイントベンチャーの成否を分けるポイントとは(ポイント2)
そして、もう1点は、
コントロール権の維持
です。
出資割合でマイノリティーだからと監査権も必要な情報にアクセスすることもできなくなれば、現状把握、財務状況すらできない中で資金と労働力を提供しているという状況になってしまいます。
特に、資金繰りなどお金の流れは常に把握しておかないと、急に「寝耳に水」で経営状態が危機的になってからその知らせを受けるというような状況は絶対に避けなければいけません。
グローバル化が進み、今後、国内企業だけではなく、海外企業をパートナーとして海外での販路拡大や海外展開を狙う場合が多くなってくるでしょう。
日本企業とのJVにせよ、日本からは目の届きにくい海外企業とのJVにせよ、企業規模が大きいことや、実績がある企業であるということで、相手に依存し、コントロール権を相手に引き渡すことなく、任せすぎず、依存しすぎず、必要な情報へのアクセスは保持しておくべきです。