頭打ちの市場で成長を遂げるためにすべきこと、できること
成長が見込めない市場で戦うために必要なこととはなんでしょうか?
今回は、頭打ちの市場で成長を遂げるためのヒントを、他社の事例をもとに解説していきます。
■海外に活路を見出すコンビニ業界
ではまず、コンビニ業界を例に考えてみましょう。
現代日本では、コンビニはいたるところに存在しています。
ちょっとした都市であれば数メートルごとにコンビニを見つけることができ、また、コンビニの向かいがコンビニ、ということすら珍しくありません。
コンビニ業界は顧客を取り合い、まさに顧客がいるところにはすべて出店した状態だともいえます。
一見、頭打ちに見えるコンビニ市場。
どのような戦略で成長を遂げているのでしょうか。
主要コンビニの店舗数をまず確認しておきましょう。
2017年2月現在の国内の店舗数
セブン&アイ・ホールディングス 19422
ファミリーマート 18125
ローソン 13111
ミニストップ 2263
上記は主要コンビニの国内店舗数です。
これだけ見ると、セブン&アイ・ホールディングスとファミリーマートはほぼ変わらない店舗数があると見えるかもしれません。ですが、事業規模でいうとセブン&アイ・ホールディングスの方がはるかに大きいのです。
なぜなら、セブン&アイ・ホールディングスは積極的に海外戦略を実施し、海外への進出をはかっているからです。
2017年2月現在の各社の海外店舗数
セブン&アイ・ホールディングス 42631
ファミリーマート 6375
ローソン 1156
ミニストップ 2990
国内ではこれ以上成長が望めないと考えたセブン&アイ・ホールディングスは、海外での店舗数を着実に伸ばしています。
さらに、今年4月には、米子会社を通じてガソリン小売などを手掛ける米スノコLP社のコンビニ事業の一部を3659億件で取得し、スノコLP社が保有する1108店舗を8月には譲り受ける予定になっています。
同社は、国内の市場が頭打ちであることを見極め、大胆な海外戦略を実施することで、業界内での地位を守っています。
■海外がだめなら…市場を広げる?
国内の市場がダメなら海外に…と考えても、海外でも市場が頭打ちになっているという場合もあるでしょう。
ビール市場も、日本のみならずアジア全域で市場が頭打ちとなっています。
キリンの発表によると、2015年の消費量は前年比1.6パーセント減と2年連続のマイナス。
なかでも、中国では3.9パーセントのマイナスと大幅な減少を見せています。
日本でも若者のビール離れは指摘されていますが、アジアでも同様の傾向があるようです。
そんななか、ビール業界でナンバーワンの地位を築いているベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブは、2位のイギリス旧SABミラーの買収に踏み切りました。
市場が広がりを見せることがないならば、競合を取り込んでしまおうといわけです。
頭打ちの市場で戦うためには、他社の買収も重要な戦略のひとつだと言えるでしょう。
■まとめ
頭打ちの市場で成長を遂げるためには、
・海外に目を向ける
・競合を買収する
ふたつの方法があることをご紹介しました。
また、頭打ちの市場で成長しよう、と策略を練ることは大切ですが、ときには、より成長が見込める市場にも狙いを定めるという方法も有効です。
ビール業界の伸びが頭打ちであることは先ほど述べましたが、同じアルコールでもウイスキーなどはまだこれから消費量が上がるのでは、と言われています。
頭打ちの市場で成長の機会を狙いつつも、今後どの市場が伸びていきそうなのか、を常に探っていく必要があるでしょう。
「この市場で一番になる」と決意することは大切ですが、視野を広く持ち、今後成長する可能性はあるか、頭打ちなのか、打破する方法はあるのか、を常に考えていく必要があるでしょう。
参考
https://mainichi.jp/articles/20170407/k00/00m/020/091000c
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO12247260X20C17A1FFE000/