経営者があえて「飛行機」で移動をする理由
2017/03/22
先日、経営者が集うパーティーでのこと。
何人かが楽しそうに立ち話をしていたのですが、聞けばその内容は「飛行機移動の思わぬメリット」について。
経営者の間ではよく聞く話題ですが、ご存じない方のためにご紹介したいと思います。
■「新幹線が通る都市間の移動でも、あえて飛行機利用」の理由を考える
出張などで遠方に移動する際、交通手段を選ぶ条件として挙げられるのは、
・目的地までの所要時間
・交通費
・当日の天候や交通事情
というものでしょう。
例えば東京-高松であれば、新幹線で岡山まで行き、特急に乗り換えて瀬戸大橋を渡るというアクセスが考えられます。
交通費は2万円弱で、所要時間は4時間半です。
対して飛行機移動では、金額は2万5000円ほどになりますが、所要時間は2時間半程度で済みますから、ビジネスパーソンの利用は飛行機がやや優位といえます。
もう一例、東京-大阪を考えてみましょう。
新幹線と飛行機をシンプルに比較すると、新幹線は1万5000円弱で2時間半、飛行機もチケットを買うタイミングで異なるものの、割引を使えば金額に大差はないといえます。
そうなると飛行機が優位と思いがちですが、決してそう言い切れません。
空港は東京・大阪とも都市の中心部から少し離れていますし、搭乗時刻より前に空港へ到着しておく必要もあります。
また先に挙げた通り、当日の急な悪天候をリスクとして勘案するならば、新幹線を選ぶ方が多いのも頷けます。
ほかにも比較するべき諸条件があるでしょうが、少なくとも表題の「経営者が飛行機を選ぶ」という理由の最たるものには成り得ないでしょう。
■「非日常の景色」がアイデアを生み出す
さて、話を戻しましょう。
経営者同士の立ち話で皆が口々に語っていたのは、「○○を眺めていたら、アイデアを思いついた」という体験です。
「富士山を見下ろした時に、日本一という志を持っていた創業当時を思い出し、原点の事業に再び力を入れることにした」
「大きな港に停泊する船を見て、自社製品を海外市場で売ってみようと思った」
という具合です。
ほかにも、はるか彼方まで広がる青空や海、青々とした田畑、建設途中の高層ビルなど、目に飛び込んできた景色がきっかけになり、新しいアイデアや視点が持てるようになったという体験を語っていました。
これは、目に映った景色が「非日常」といえるものであり、それが刺激となったと考えられます。
さらに、この非日常の景色を眺めるという刺激は、思索という行動を呼び起こします。
この思索こそが、新しいアイデアの根源といえるでしょう。
ある経営者が口にした
「新幹線、飛行機とも何十年と乗ってきたが、窓から見える景色を眺めて“物事を考える”というのは飛行機だけだね。時間的にもちょうどいい」
という言葉は、まさにこの通りでしょう。
■「思索の暇をつくる」ことでチャンスが
ことわざに「一葉落ちて天下の秋を知る」とあります。
「一枚の葉が落ちて秋の訪れに気がつくように、わずかな前兆から以後の衰亡を知ることができる」という意味ですが、常日頃から思索していればば小さな変化にも気づくことができるとも読み解くことができます。
時代の先を読んで判断を下す経営者は、前兆ともいえる小さな変化に気づく素養が求められます。
そのためにも、寸暇を惜しんで思索するべきなのです。
その一つが飛行機での移動時間といえるでしょう。
新しいアイデアが欲しい時に「とりあえず飛行機に乗ろう」というのは極端ですが、普段訪れない場所や会えない人と会い、思索するということも有用な手段かもしれませんね。