営業代行が不向きな商材のセールス向上術
2017/03/03
「会社を発展させるには、商品力と営業力」というのは常識ですが、日本ではセールスを二の次に考える会社が多く、不足する営業リソースを外部委託するケースもあります。
最近では完全成果報酬制をうたう営業代行会社も多く、一見するとリスクが低くなった感がありますが、どうしても商材の内容によって成果がまちまちという実状があります。
今回は営業代行という視点で向き/不向きな商材の特長とともに、不向きな商材のセールス向上を図る取り組み方について考えていくことにしましょう。
■ポイントは「説明の量」と「即決性」
営業リソースを細分化すると、「アポ取り」「マーケティング戦略」「顧客への商品説明」「商談」などのキーワードを挙げることができます。
営業代行会社に委託する場合、こうした業務をすべてセールスマンに任せることになり、自社でセールスマンを雇用することは不要となります。
また、セールスマンは複数の会社で営業を行うプロフェッショナルであることから、「人件費を安く抑える上に成果があげられる」という期待感から、営業代行業者へ委託する会社が多いのです。
しかし冒頭の通り、商材によって向き/不向きというものが存在します。
ポイントは「説明の量」と「即決性」であり、
・よく知られた商材、日常的に使う商材
・完全な形でパッケージされた商材
・値引きやまとめ売りなどの裁量まで任せられた商材
などがベストといえます。
商談では軽快なセールストークでメリットや使用感を説明し、最後はオシの強さで成約させるというものです。
これに対して、不向きな商材としては
・顧客に一から丁寧に説明する必要がある商材(=セールストーク勢いで売れない)
・専門的かつニッチな商材(=セールスマンが事前に勉強する必要がある)
・顧客の要望にあわせて内容や価格が変化する商材(=後日でなければ成約しない)
などは、どちらかというと商品力を冷静に判断しての成約となるため、セールスマンの腕はあまり影響しないのです。
こうなると営業代行会社へ委託するメリットは少ないといえるでしょう。
■「営業が大事にされる」社風の醸成が急務
営業代行会社への委託が不向きとなると、自社での採用に舵を切ることになります。
優秀な人材の獲得に向けて動くことはもちろん大事ですが、もう一つ忘れてはならないのが「営業が大事にされる社風」を醸成させることです。
商品力の向上に取り組み、かつ営業リソースが不足している会社の多くは、技術または生産部門を大事にする社風が根づいています。
ここで優秀なセールスマンを獲得できたとしても、入社後は働きにくさを感じてしまい、十分に力を発揮することが難しくなります。
最悪の場合、すぐに退職してしまう可能性さえあると考えるべきです。
また、採用するセールスマンへの過度な期待も望ましくありません。
できるならば、環境の変化に順応しやすい30~40代を複数人採用するのが理想的です。
■会社ぐるみでセールスの勉強をする手も
セールスの世界では、受講料が数万円~数十万円する比較的高額なセミナーが頻繁に開かれています。
こうしたセミナーへ社員を参加させ、営業力を向上させるという手も考えられますが、同じコストをかけるならば「社内勉強会」を開くことをお薦めします。
社内勉強会では、外部から講師を招いたり、DVDなどのセールス教材を視聴し学び合ったりしながら、全社員のスキルアップを目指します。
これを実施することで、少なくとも参加者はセールスへの意識が高まり、自社の売上や商品についての関心も高まることでしょう。
こうした取り組みを経営者がトップダウンで行うことができれば、セールス向上はもとより、会社の発展が期待できます。
営業代行会社へ依頼する前に、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。